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医師が加入するのに適した生命保険とは?Part1

医師としてバリバリ働くあなた。生命保険選びに悩んでいませんか?生命保険に加入する際には、個々人の人生設計が何より大切です。

そして今後の経済情勢や現行の社会保障の状況等の外部要因を検証することも不可欠です。今、世の中はどんどん高齢化がすすんでいますが、そんな中で今までとは違ったリスクも顕在化してきつつあります。

今回はそんな点も考慮しながら「医師にお勧め」の生命保険について解説していきたいと思います。

勤務医か、開業医か、で異なる経済的リスク

‟医師が加入すべき生命保険“とはどんなものが良いのでしょうか?

それは勤務医か開業医かで異なります。

そもそも勤務医と開業医では勤務形態が大きく違います。当然ながらそれに伴う経済的背景が異なり、また抱えるリスクも違ってくるからです。

また開業医の場合も「個人事業」か「医療法人」かでも違ってきます。それは、個人事業は「所得税法」の対象となり、医療法人は「法人税法」の対象となるからです

以下に大まかな生命保険の加入目的となる潜在リスクを挙げてみました。

勤務医

①死亡リスク

②長期就業不能リスク

③短期就業不能リスク(病気やケガでの一時入院等)

開業医(個人)

①開業資金等返済リスク(※団体信用生命保険に加入済みの場合もある)

  • 死亡リスク
  • 長期就業不能リスク
  • 短期就業不能リスク(病気やケガでの一時入院等)

開業医(法人)

①開業資金等返済リスク(※団体信用生命保険に加入済みの場合もある)

  • 理事長(経営者)としての死亡リスク(主に死亡退職金の為)
  • 長期就業不能リスク
  • 短期就業不能リスク(病気やケガでの一時入院等)

大まかには上記のようなリスクがあると言われています。

今、既に加入されている生命保険は上記の目的に合致していますか?

勤務医、開業医に共通のリスク

一方で、医師の皆さんなら身をもって感じておられるでしょうが、日本人の平均寿命は年々延びてきています。今や「人生100年時代」とも言われるようになってきました。

そんな中、ここ最近リスクとしてクローズアップされるようになったのが、上記にもある「(病気やケガで)働けなくなるリスク」(長期就業不能リスク)です。

これは、勤務医、開業医に共通するリスクの1つと言われています。

働けなくなったらどうするのか?今は健康で毎日働いていても、今後病気やケガで働けなくなり、収入が減少してしまうかもしれません。最悪の場合には、収入が途絶えるにも拘わらず、治療費等の出費が増えるというケースも想定されます。特に医院と家族の行く末をその一身に背負っている開業医はこの問題を避けては通れないでしょう。働けなくなったらその後の医院経営、そして家族の生活はどうなるでしょうか?真剣に考えたことはありますか?

働けなくなった場合の保障、就業不能保険が登場

このように働けなくなった場合に、保険金が支払われる生命保険が「就業不能保険」です。

働けない状態(就業不能状態)になった場合に保障される保険は、「就業不能保険」と他に「所得補償保険」の2種類の商品があります。「就業不能保険」は主に生命保険会社が販売している商品であり、「所得補償保険」は主に損害保険会社によって販売されているもので、基本的には同じ性質をした保険といえます。

(ただし、保険金を受け取れる要件等が商品や会社ごとに細かく異なっているため、加入する際は注意する必要があります。)

似たような名前で「就業不能保険」と「収入保障保険」を混同しないようにしましょう。就業不能保険は、被保険者が働けなくなった場合を保障する保険です。一方の収入保障保険は、被保険者が死亡した場合に、残された家族の生活費を賄うための保険です。一定期間、毎月いくらという形で遺族に保険金が支払われるため、収入保障保険と呼ばれていますが、所得補償保険・就業不能保険とは全く別な性質の保険です。

勤務医と開業医の社会保障に関する大きな相違点

保険は「不必要なものには加入しない」のが原則です。

ですので、そもそも民間の保険に頼る前に、公的保障でカバーできる部分を理解しておきましょう。

勤務医の場合、働けなくなったら、まず有給休暇で対応できます。有休を使い切ってもなお復職できない場合に初めて公的保障に頼ることになります。

そこで1つ目の仕組みは、公的医療保険制度に組み込まれている「傷病手当金」です。傷病手当金は、勤務医の加入する保険制度から受けられる給付で、業務に起因しない就業不能状態で受けられるものです。給付の条件を満たせば、休業4日目から、それまでの給与日額の3分の2の金額を、1年半に亘って受給することができます。勤務医にとっては心強い制度ですね。

そして2つ目の仕組みは労災保険です。業務に起因する病気やケガにより、療養のために働けなくなった場合には、労災保険から給与日額の実質80%の給付が受けられます。労災であれば、基本的に病院での治療費もかからないため、より手厚い保障が得られます。

さらに、健康保険・労災保険からの休業時の給付は期間1年半までですが、その後、障害等級1級・2級の状態と認定されれば、障害基礎年金が終身で支給されます。1級で約98万円、2級で78万円の年金が、障害が残る限り一生支給されます。障害等級1級・2級の状態になれば、上乗せで障害厚生年金も支給されます。

このように、勤務医は社会保障である程度は保障されているのです。ただし、言い換えると「これしかない」のが現状です。もともと経済的に恵まれた環境にある医師の生活費がこの程度の保障で賄えるでしょうか?日々の生活水準や預貯金額等によってご家庭により違いはあると思いますが、万一のことを考えると物足りないと言わざるを得ないでしょう。

そして、開業医の場合は、この勤務医の水準にすら達しません。

そもそも1つ目の仕組みで挙げた「傷病手当金」という制度は国民年金にはありませんし、2つ目の仕組み挙げた労災保険も本来は適用されません。「労災保険の特別加入」をすることで初めて適用されるのです。さらに障害時の年金も障害基礎年金に限られることとなります。開業医の場合、公的保障はたったこれだけなのです。

本来、就業不能保険が必要な人とは

このように、もしも就業不能状態に陥った場合には、勤務医は社会保険による保障がある程度受けられます。しかし開業医についてはさほどの公的保障は期待できません。確かに就業不能保険が本当に必要なのは、開業医のような自営業者やローン返済中の人などと言われていますが、いずれにせよ生活水準の高い家庭ほど、収支バランスが崩れた時その影響は大きくなります。それを考えると開業医に限らず、比較的生活水準の高い医師こそ本来は備えておくべきリスクではないかと思います。

医師の皆さんには、是非検討されることをお勧めします。

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大西宏明

・プロフィール

株式会社VIDA MIA代表取締役
生命保険・損害保険のコンサルティング、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として長期資産運用の提案、相続・事業承継対策として遺言の作成および民事信託(遺言代用信託)スキームの提案、と保険やオペレーティング・リース、投資信託など多岐に渡った金融商品を取扱い、専門家の税理士や弁護士とも提携してワンストップ型の独立系総合金融サービスを展開しています。

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・経歴

1972年生
滋賀県守山市出身

1991年
洛星高校 卒業

1996年
神戸大学 教育学部 卒業

1996年
大同生命保険相互会社 入社。企業年金部に配属後、大阪・京都で営業課長を歴任。

2015年
株式会社FPG 入社。大阪・広島で副支店長としてオペレーティング・リース(JOL)の販売に従事。

2016年
株式会社VIDA MIA 代表取締役就任