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医師の節税対策におすすめの会社設立

雑所得の多い勤務医は会社設立で節税

節税…それは高収入である医師にはずっとついて回る課題でしょう。「うまく節税ができれば…」と考えている医師も多いと思いますが、今回はその方法について考察したいと思います。

医師の中には、病院からの給与所得やアルバイト収入以外に、セミナーなどでの講演料や原稿料などの収入を得ている方もいらっしゃいます。こういった収入は当然ながら所得(雑所得)として申告せねばならず、結果としてこれらがすべて合算された総所得が所得税の対象となってきます。このようなケースで節税の為によく使われる手法が「会社設立」です。

法人では医療サービスの提供はできませんが、講演、原稿執筆、セミナーの開催および運営、医療・医業コンサルティング業務、医療関連用品の販売、医療従事者の教育・指導業務、医療訴訟に関する医学的アドバイス業務等のようなサービスや業務を行なうことができます。そこでこれらに関する業務を会社を設立し法人として契約し、その報酬を、医師個人が受け取るのではなく、法人が受け取るという仕組みです。こうすることにより、収入を法人・個人に分散させ、医師個人の総所得を抑えることができ、また医師個人では経費にできなかった支出などが法人の経費として扱えたりするので、総合的に節税効果が期待できるというものです。

勤務医の会社設立に必要な手続きは?

会社設立は簡単です。ここでは一般的な「株式会社」の設立手続きに触れたいと思います。

1.株式会社の基本事項8項目を決定

①商号②事業目的③本店所在地④事業年度⑤資本金⑥出資者(設立時株主)⑦株式譲渡制限の有無⑧機関設計(役員構成)

2.設立手続きに向けた事前の準備

発起人及び役員(取締役等)に就任する人の印鑑証明書を取得
類似商号の調査(管轄法務局)
設立登記申請に必要となる会社代表者印(法人実印)の作成
事業目的の事前確認(管轄法務局)

3.定款を作成し公証人役場で定款認証を受ける

定款を作成
公証役場で定款認証を受ける

4.役員の就任承諾書を作成

就任承諾書を作成
設立時代表取締役選定決議書を作成

5.資本金を払い込む

払込証明書を作成

6.管轄の法務局で株式会社設立登記の申請

登記申請書を作成する
別紙(登記すべき事項)及び印鑑届出書を作成する

7.税務署などへ株式会社設立後の各種法人設立届出を行う

登記事項証明書、印鑑証明を取得する
ただ、これを忙しい医師個人がするには無理がありますね。ですので、こういった法的手続きに慣れている司法書士に依頼すると良いでしょう。費用はまちまちですが手際よく進めてくれることでしょう。

また、今は合同会社(LLC)という会社形態が認められています。

LLCの機関構成は、出資者による総会(社員総会)のみとなっています。また、総社員の同意に基づいて、定款変更や意思決定ができるなど、自由で迅速な会社運営が可能であり、小規模企業に最適な会社組織と言える形態です。設立費用も比較的安価ですので、こういったケースには最適かもしれません。

 

開業医が節税のために別会社を設立する際の注意点

会社を作った際に、同時によく行われたのが、「法人代表者を親族にする」というものです。特に多いケースは奥様(妻)を代表者に据えるパターンでしょう。

様々な支出を会社経費にしやすくなると共に、その親族(妻など)へ支払う報酬が経費に算入できるのです。これにより様々な支出を会社の経費として損金算入できるようになるからです。(ただし親族には所得税がかかり、社会保険料なども変わってしまいますので注意が必要です)元々はお一人で得ていたはずの収入を分散させることに繋がりますので、高額な所得税負担を軽減させる効果が考えられ、総合的な節税効果を生むことが期待できます。

ただしこの手法は前回にも書いたように「なぜ会社を作って、収入を分散させる必要があるのか」と言う明確な理由がないと税務当局からは単なる「税金逃れの節税用の法人」と見なされる可能性が高くなります。故に慎重に検討されることをお勧めします。

またこのスキームには「税金」の知識が欠かせませんので、詳しくは税理士に相談し、総合的に判断されると良いでしょう。

 

医師の会社設立。資本金やその他必要経費は?

お勧めしているのは上述の合同会社(LLC)です。

設立要件としては、合同会社(LLC)は株式会社と同様、1人でも設立可能であり、資本金も1円でOKですが、設立にかかる費用が株式会社よりも安く作れます。

一般に株式会社設立には20~30万くらいの費用が必要ですが、LLCであればその半分くらいで済むでしょう。しかし、会社としての機能は十分に備えているのです。

 

いずれにしても「節税」だけを考えての会社設立は、安易に行うことはお勧めしません。税務当局もそういった法人には目を光らせています。もし実施するのならば、税理士と相談の上話を進めることをお勧めします。

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大西宏明

・プロフィール

株式会社VIDA MIA代表取締役
生命保険・損害保険のコンサルティング、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として長期資産運用の提案、相続・事業承継対策として遺言の作成および民事信託(遺言代用信託)スキームの提案、と保険やオペレーティング・リース、投資信託など多岐に渡った金融商品を取扱い、専門家の税理士や弁護士とも提携してワンストップ型の独立系総合金融サービスを展開しています。

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・経歴

1972年生
滋賀県守山市出身

1991年
洛星高校 卒業

1996年
神戸大学 教育学部 卒業

1996年
大同生命保険相互会社 入社。企業年金部に配属後、大阪・京都で営業課長を歴任。

2015年
株式会社FPG 入社。大阪・広島で副支店長としてオペレーティング・リース(JOL)の販売に従事。

2016年
株式会社VIDA MIA 代表取締役就任