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高収入の医師こそ節税対策をしっかり行うべき

医師の節税対策には不動産投資がおすすめ?

医師の節税対策としてよく「不動産投資」が挙げられます。

なぜこれが節税に繋がるのか?

不動産購入後の当初は減価償却等により大きな初損が取れます。この不動産所有による赤字は、医師としての所得と通算(これを「損益通算」と言います)可能なので、この両者を相殺することとなり、総所得が抑えられます。これにより結果として所得税が安くなり、経済的なプラス効果が生まれる…これが“不動産投資による節税対策”と呼ばれるスキームです。

ただ、不動産投資は金額も大きく、期間も長期に亘ります。それに銀行の借入を前提にする方がほとんどですので、目先の安易な「節税」だけに囚われることなく、十分に注意して検討されることをお勧めします。

 

勤務医の節税対策は特定支出控除で

勤務医の方はまず必ず知っておくべき節税方法があります。それは「特定支出控除」と呼ばれる税制上の制度です。

本来であれば経費に算入できる支出を個人で負担した場合、たとえその金額が大きくても、収入に応じた額しか控除されません。つまり、定められた額を超えて個人で負担しても、ただ損を負うことになります。こういった状況で活用できるのが『特定支出控除』です。『特定支出控除』は「個人が業務に伴う費用を負担(特定支出)した場合、それが一定額を超えるとき、超えた金額を給与所得控除額に加算(所得金額から減算)できる」制度のことです。2012年の税制改正で「給与所得控除額の半分を超えた部分」が明確に対象と認められるようになったため、以前より格段に利用されるようになりました。勤務医であれば、節税としてまずこの制度活用しましょう。

では、一体どのような費用が特定支出として認められるのでしょうか。
下記の①~⑧の費用が特定支出に含まれます。

  • 通勤費 ②転居費 ③研修費 ④資格取得費 ⑤帰宅旅費 ⑥図書費 ⑦衣服費

⑧交際費

(ただし⑥~⑧を「勤務必要費用」といい、これらについては3項目の合計が65万円までと限定されます)

勤務医の場合、これらの合計金額が給与所得控除額の半分を超えていれば『特定支出控除』を受けることができるのです。

(なお、①~⑧の費用はすべて、給与の支払者である病院の証明がなければ特定支出として認められないため、勤務医の方は注意が必要です。)

『特定支出控除』を受けるには、確定申告を行ったり、勤務先の病院から証明書をもらわなければならなかったりと、面倒な手続きが多いのも事実です。忙しい勤務医ならなおさら負担に感じることもあるでしょう。

しかし個人で経費を負担することの多い勤務医だからこそ、有意義に利用できる制度であるともいえます。「所得税や住民税を減らしたい」という節税意識を持っている勤務医の方は、まずこの制度の利用や「ふるさと納税」をフル活用することを検討してみてはいかがでしょうか

 

別会社を設立する節税方法は勤務医でもできる?

これもよくある話ですが、勤務医が別会社を設立して、勤務先等からの報酬の一部をその会社の収入として受け取るという節税スキームです。こうすることにより医師個人としては自身の所得税を引き下げることが可能になり、同時にこれまで経費にできなかった支出の一部を会社経費として損金算入できるようになるので、総合的な節税効果が期待できると言うものです。

勤務医やフリーランスの医師のなかには、病院からの給与所得以外にセミナーなどでの講演料や原稿料などの収入があり、それを雑所得として確定申告されている方も多数いらっしゃるでしょう。法人では医療サービスの提供はできませんが、このようなサービスや業務を行なうことができるので、(他に、医療・医業コンサルティング業務、医療従事者の教育・指導業務、等です)こういったサービス・業務に関する報酬を、新たに契約先と法人で契約を締結し直し、法人の収入として計上していくのです。

ただし、これを実行するには勤務先の了承が必要です。また、このスキームを活用するならば「なぜ法人を設立して収入を分散させる必要があるのか」を明確にしないといけません。また「設立した法人の収入が“何に対する収入”なのか」もクリアにした運営を行わないと、税務署からは「単なる節税目的の法人では?」と疑念を持たれ、指摘される恐れがあります。

節税を目的として法人を設立される医師も多く、当然ながら税務当局もこういったケースは熟知しています。もしこのスキームを検討されるのなら、その運営にはかなりの注意を必要とするでしょう。

 

医師必見!高級車を経費化する方法

上述してきたような法人を介して「車」を購入した場合、その会社の経費として認められ節税に繋がるケースがあります。ただし、車に関する税務の取り扱いはグレーな面が多く、特にこのような場合にも「なぜ、会社で車が必要になるのか?」というはっきりとした理由がないと経費としては認められない可能性が高いでしょう。逆に明快な理由があれば、外車等の高級車でも経費として認められる可能性があります。ただし、これは具体的に顧問税理士と相談を要したほうが得策でしょう。

また車の購入代金については、購入した年度に、全額を必要経費にすることはできません。減価償却という手続きによって、法律に従った耐用年数に応じ、減価償却費として徐々に必要経費に算入していきます。

いずれにしても、従来通用していたような手法での節税は年々困難になってきています。これらの手法を検討するのであれば、必ず税理士との綿密な打ち合わせの上で事を進めることをお勧めします。

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大西宏明

・プロフィール

株式会社VIDA MIA代表取締役
生命保険・損害保険のコンサルティング、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として長期資産運用の提案、相続・事業承継対策として遺言の作成および民事信託(遺言代用信託)スキームの提案、と保険やオペレーティング・リース、投資信託など多岐に渡った金融商品を取扱い、専門家の税理士や弁護士とも提携してワンストップ型の独立系総合金融サービスを展開しています。

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・経歴

1972年生
滋賀県守山市出身

1991年
洛星高校 卒業

1996年
神戸大学 教育学部 卒業

1996年
大同生命保険相互会社 入社。企業年金部に配属後、大阪・京都で営業課長を歴任。

2015年
株式会社FPG 入社。大阪・広島で副支店長としてオペレーティング・リース(JOL)の販売に従事。

2016年
株式会社VIDA MIA 代表取締役就任