- 転職
- 2019-3-12
医師の転職は働きやすい病院選びから
医師としてのキャリアアップや、症例、環境を求め医局を退局し、他の医療機関へ転職する方が増えてきています。
多忙な勤務の中、労力と時間を掛けて転職することになるため、働きやすい病院選びはとても重要です。
病院選びに失敗してしまい、あなたの希望やスキルと合わない病院や人間関係がギクシャクしている病院に転職してしまったとしたら、どうなるでしょうか?
40歳までは次の転職先を容易に見つけることができますが、40代後半ともなると制約が増えてしまい転職する病院の選択肢が少なくなります。
今回は、医局を退局して転職しようとしている医師へ向けて、働きやすい病院選びについてお伝えします。
病院選びを失敗しないために、条件を出し切る
転職する理由は千差万別ですが、今の病院に何らかの原因があるはずです。
例えば、下記のような原因が考えられます。
- 症例数を増やしたいが、今勤務している病院では実現できない
- 役職に就きたいが、ポストに空きがない
- 多忙で家族との時間を取れない
- 収入をアップさせたい
- 人間関係がギクシャクしている
- 最近、体力が落ちたので長時間の手術がきつく転科を考えている
まずは、転職しようと考えた原因を探りましょう。
現状の不満や転職しようと考えた原因を探ることなく転職は可能ですが、転職した次の病院でも同じような不満を感じ、転職に失敗してしまうからです。
一方、条件を出し切り優先順位をつけることで働きやすく働きがいのある病院に転職できるようになります。
例えば、「症例数は満足しているが、カルテの入力や患者への診断書、地域の医療機関に向けた紹介状といった書類作成や診療に関するデータ整理に追われている不満を持っている」と明確になると、「事務作業の負担を軽減してくれる優秀な医療秘書のいる病院を優先したい」となるでしょう。
逆に、「大学病院勤務のため医師が多く、診療したい症例の担当医になれない」ことを不満に感じているのなら、多くの症例を経験できる民間病院への転職が選択肢になるでしょう。また大学病院より民間病院の方が、給与水準が高いといったメリットもあります。ただし、症例を多く経験できる反面、診療時間が長くなるといったデメリットのチェックも重要です。
病院選びを失敗しないためには、病院に求める条件だけではなく、メリット、デメリットを幅広く考えておく必要があることを覚えておきましょう。
当直をどう考えるか?
当直時にほぼ呼ばれない寝当直であれば、身体的負担が少なく収入が得られる反面、頻繁に呼び出される当直をした翌日は、体が重く頭の回転も遅くなるとお聞きする機会が多くあります。
当直を全て非常勤医師のみとし常勤医師は日勤のみとしている施設や、当直明けの勤務無しとしている施設が少数ながら存在しますが、ほとんどの病院で常勤医師の当直は必須です。
若い時は体力があり週3回の当直も平気でこなしていたが、家族のことや収入、キャリアを考えると完全に当直無しにするのはできないから、週1回の当直なら可とする方法もあれば、家族や大切な人との時間を作りたいから、収入が減っても当直無しにする考え方もあります。
いずれにせよ、年齢や立場、家族構成、環境などを考慮し、ご自身にあった当直勤務の在り方を転職前に決める必要があります。
医師としてのキャリアも転職成功のカギ
外科系はチーム医療が進んでいることもあり、年齢が高くなるほど転職が困難です。しかし、少人数のチームで医療を提供している200床程度の病院や、常勤医一人で診療できる耳鼻咽喉科、眼科、内科などでは、年齢が転職の障害になることは少ないと言えます。
今までのキャリアを踏まえ、高齢化社会の日本でニーズの高い総合的な内科や糖尿病などの領域に軸を移すことを考える必要があるかもしれません。
指導医も考慮すべき項目です。若手を集めるために臨床研修医指定病院の認定を満たすことを重要視している市中病院からすると、指導医は魅力ある存在です。
さらに、待遇の良い地域のクリニック院長職、在宅クリニック、フリーランス医なども含めて検討すべき場合もあるでしょう。
働き方改革から考える病院選び
2014年医療法が改正され、医療機関に対し「医療従事者の勤務環境の改善に取り組む」努力義務規定が創設されました。さらに、医師の労働時間の短縮を目指し2017年8月から「医師の働き方改革に関する検討会」を厚生労働省は設置しました。
しかし、週勤務時間が80時間を超えている病院は全体の26%、大学病院に限ると88%もの医師が長時間勤務をしているのが実情です。
※2016年度厚生労働科学特別研究「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査研究」より引用
働き方改革により勤務時間を著しく減少させることができた病院がある一方で、長時間労働が増えている病院があってもおかしくはありません。
待遇や条件だけに拘ってしまうと、医師が減ってしまったために厚遇の条件で募集をしているブラック病院に引っかかるリスクが増します。
同僚医師やスタッフの不満が募り転職に失敗することや、入職した途端に別の医師が退職してしまい、予想よりも負荷が大きくなってしまったというような失敗もあります。
失敗を回避するためには、病院の内情を把握することが必要不可欠です。
医師の転職サイトと病院選び
大手の転職サイトは案件数を多く持っているメリット、組織としてのカバー力がある一方で、担当者の当たり外れが大きく、経験や知識、人脈に乏しい担当者に転職のサポートや条件交渉を依頼することに疑問を感じている医師もいます。担当者を変えることはできますが、貴重な時間を無駄にするだけではなくストレスも溜まってしまいます。
大手以外の医師紹介会社を利用すると、大手と比べ案件数が少ないものの少数精鋭のエージェントが親身になってきめ細やかな情報を集められることから、大手では入手できないコアな情報が得られることが期待できます。
オーダーメイドなどの高レベルな対応や転職先の病院への条件交渉が期待できなければ、規模の小さい会社は自然淘汰されることを考えても、大手だけではなく、少数精鋭のエージェントの双方を組み合わせて利用するのが失敗しない病院選びの最短ルートとなるでしょう。
理想のライフスタイル実現、将来設計を意識した医師転職のススメ
doc_life_admin
- 医師の転職は働きやすい病院選びから - 2019年3月12日