- 転職
- 2018-9-12
医師の転職は冷静かつ客観的な現状認識から。実際に転職をした医師の体験談も活用しましょう。
医師が上手に転職を成功させるには「秘訣」があります。闇雲に大学医局を飛び出して選り好みをしてもなお「割と簡単に」好条件の転職ができるのはせいぜい40代半ばくらいまでの医師です。
それよりも上の年齢になると、色々と制約が増えて転職候補となる病院の選択肢が狭まってきてしまうのが医師転職市場の趨勢です。
今回は「医師の成功転職への秘訣」とは何なのかを見ていきましょう。
目次
医局からの退局を含め医師が転職を考える理由
医師の転職理由は百人百様です。
転職検討の理由や背景を無理やり分類すると以下のようなものに大別されるでしょうか。
1.今の仕事(業務内容、薄給、長時間労働など)への不満
2.将来に対する不安(ポスト・出世争い、ブラック病院、経営不振、雇用不安)
3.給与・年収への不満
4.医局人事(遠方の関連病院への異動辞令など)への不満
5.上司との相性が良くない(教授選、年下の上司、不遇な扱いなど)
6.リストラ対象、クビになりそう
7.新しい事にチャレンジしたい(専門医、症例を求めてなど)
8.家庭事情(健康問題、出産、育児、子息の教育、介護など)
医師が転職を意識するようになる背景には様々な事情があります。
多くは現状に何らかの不満や不安を抱いているという事。或いは、外部要因の変化により働く環境を見直さざるを得なくなるというケースもあります。
いずれにしても今の働き方を続けるよりも、転職した方が良いと考える何らかの理由が存在するのが一般的です。転職する事で、より良い環境を手に入れて仕事や生活の質を改善したいという切実な医師たちのニーズがそこにあります。
転職で医師人生の再スタートを切りたい
同僚医師が辞めるという話しを耳にすると否が応にも、「え、あの先生退職?次どうするの?」、「しわ寄せが来て自分の仕事が増えるんじゃないか?」と興味半分、不安半分で他の医師の転職話や転職体験談は気になるでしょう。
名のある大学病院やブランド病院に勤務している医師でも、単調な仕事の連続で同じような毎日が続くと「仕事が面白くない、つまらない」、「自分はもっと評価されるべき」など様々な不満が出てくるものです。
最近は医師の転職が以前よりも一般化してきており、インターネット上には医師転職・医師求人情報を提供する転職サイトが溢れかえっています。医師の転職体験談も多数掲載されています。
現状に何となく不満を感じていたり、処遇に満足していない時に、魅力的に映る医師求人や転職を成功させた医師の体験談を目にすると、「自分も転職してみようかな」と思ってしまうのは人間心理として普通の事でしょう。
しかし、ここでちょっと一呼吸おいてよく考えてみる事をおススメします。一時の感情だけで安易に転職へと突き進むとすぐに後悔する事になりかねません。
現在(2018年時点)の医師転職マーケットでは30代の若手医師や40代半ばくらいまでの年齢の医師であれば、多くの病院で引く手数多の売り手市場である事は事実です。
が、何度か短期間(1~2年未満など)で退職、転職を繰り返すと、年を重ねるだけあなたの医師としての市場価値(病院からの評価)はあっという間に急降下してしまいます。気が付けば病院側が積極的な採用を敬遠する年齢になっていたりします。
年齢が上になると段々転職が難しくなる理由は、ポストの空きが無い、高い年収・給与がネック、当直ができないなど無理が効かなくなってくるなど、要するに雇用側の病院としては、その医師を「高コストで扱いにくい存在」と見做すようになってしまう訳です。
医師が転職を成功させる秘訣とは?
前置きが長くなりましたが、「医師が転職を成功させる秘訣」について見ていきましょう。まずは転職を実行に移す前に明確にすべき事項があります。
【現状認識】
1.「なぜ転職したいのか?」
2.「転職をしてどうしたいのか?」、「転職する事で何を得たいのか?」
頭で考えていても正解(転職すべきか、現在の職場に留まるべきか)を導き出すのは難しいでしょう。そこでおススメなのが自分の正直な気持ちを紙に書きだすという単純な作業です。A4用紙一枚あれば十分です。紙を横向きに置いて真ん中に縦線を引き、不満に感じている点(マイナスポイント)と満足している点(プラスポイント)を客観的に書きだしてみるのです。
(左側)現状の不満点:仕事内容や病院、生活全般でストレスに感じている事
(右側)現状の満足点:良い面、恵まれていると客観的に感じている事
これが現状認識の作業です。右側の項目(満足点)の方が多くあれば、実は今の仕事は結構恵まれており転職などしない方が良いのかもしれません。
そして次に下記について改めて冷静に考えてみます。
3.「今の環境(医局、病院)ではダメなのか?」
→ ダメで無ければ転職などしない方が良い事もアリ
4.「自分が変わる事で環境を変える事はできないか?」
これらの作業を経てもなお、「やはり転職した方が良い」という判断に至ったとしたら、その時点で初めて転職を真剣に考えても遅くはないでしょう。
履歴書が綺麗であれば年齢に関わらず多くの医師にとって当面の間は医師転職マーケットでは売り手市場が続くと思われますし、厳しい時代になったとしても、実力があれば困る事はありません。
転職をした方が良いという判断に至ったら、
【転職活動】
5.良い転職へと導いてくれる道先案内人(ガイド、ナビゲーター)とも言える転職エージェントに相談する事
6.候補先病院の内情について調べて欲しい事・質問を明確にする事
これは結構重要です。優秀で信頼できる転職エージェントといえども、転職候補となる病院の内情を全て把握している訳ではありません。過剰な期待は禁物です。実際に働く医師でなければ分からないチェックポイントがあるはずです。
例えば、医師構成(年齢、医局、専門領域)、大学医局との関係、症例の中身、必要な検査機器や医療機器のスペック、患者層、近隣病院との競合・診療科の収益性、将来性etc.
勤務条件や年収交渉、病院の一般的な情報や収益指標などは優秀なガイド(転職エージェント)であれば、ある程度の情報は持ってきます。しかし、そこから一歩踏み込んだ内情や価値ある情報については転職を考えている医師と転職エージェントが協力して進めていかないとうまくいきません。
これらの事を心掛けていただく事が「医師の成功転職への秘訣」です。
秘訣という程の事でもありませんが、医師が転職をする際にはいずれも軽視すべきではないと我々が考えているポイントです。
まとめ:医師の転職決断は冷静かつ客観的に判断する事が重要。現状に留まるという決断も時には吉。
医師の安易な転職は後戻りが出来ない場合が多いです。医局や同門との繋がりを持つ医師は、それらとの関係性で距離感は様々ですが大切にした方が良いとか後悔しているといった事例を転職経験のある医師の体験談から多数見る事ができます。
転職検討中の医師は先ずは「現状認識」から始めて、現状に留まり環境を変える努力をすべきなのか、転職した方が良いのか冷静に判断される事をおススメします。
医師転職コンシェルジュへご相談希望の医師はお気軽にご連絡ください。
こちらの記事も合わせてご覧ください。
【医師のライフプラン設計】医師転職市場や厚労省の医師調査から見る医師の離職や転職率とは?
・プロフィール
医師の転職支援サービス「医師転職コンシェルジュ」を運営し、自らもエージェントとして医師の転職をサポートしています。これまでに14年間、多くの医師の転職を成功に導きました。
経歴を見る
・経歴
1969年大阪生まれ
大阪明星学園・明星高等学校卒業(高校3年時・剣道3段、玉竜旗全国高等学校剣道大会出場)
関西大学 法学部法律学科卒業(専攻・民法総則=高森ゼミ第14期幹事、大学4年時・剣道4段)
1992年
総合商社 ニチメン(現・双日株式会社)入社。商社マンとして11年間(1992-2003年)勤務
2003年
NZ・Hawaii短期留学・ビジネス視察
2004年
株式会社レイ・クルーズ設立、代表取締役に就任。
大前研一塾長ABS(アタッカーズビジネススクール)第19期
~現在に至る。
- 海外資産防衛の必要性 - 2021年1月22日
- 出産のブランクがあっても医師として転職できる - 2019年3月12日
- 【医師の転職】医師が転職する際に必要な退職手続きとは? - 2019年2月6日