- 転職
- 2019-2-6
【医師の転職】医師が転職する際に必要な退職手続きとは?
転職を決意して院長や事務長に伝えたけれど、慰留されて転職が思うように進まないという経験はありますか?
医師が転職する際に必要な退職手続きの手順や、転職理由に関する事、退職届(or 退職願)を提出するタイミングなど、転職の手続きに関して医師の方が気になるポイントを分かりやすく説明したいと思います。
先ず最初に、医師が転職するに当たっては引き継ぎ業務が発生する事が多いため、余裕を持ったスケジュールを組み慎重に行動する事をおススメします。狭い医療界(医師の世界)では、良い情報も悪い情報もあっという間に伝わる事が多いので、何よりも円満に退職する事を第一に心掛けましょう。
慰留されるのは医師として一定の評価をされているという事ですので嬉しい事ではありますが、単に病院側の事情だけを考えての引き留めの場合もあり、医師本人の将来の事を深く考えてくれての慰留とは限りません。次のステージへ進みたいと考えている医師本人としては、最終的には自分自身で残留、転職の決断を行うのが得策でしょう。
転職活動を上手に進めて、キャリアップやキャリアチェンジを図り、その時々に合った理想のライフスタイルを実現してください。
目次
医師が転職する際に気を付けるべきこと
まず、勤めている医療機関に退職の意思を伝えるタイミングですが、次の転職先からの「内定(入職・受入の約束)」を確保した後にした方が良いでしょう。次の職場となる医療機関からの内定を確保する前に退職届けを提出してしまうと、「行き先が無い」という恐怖心から、転職時の条件交渉において、足許を見られる事に成りかねません。そういった不安を感じる事なく安心して退職届けを提出できるタイミングが来るまで(次の職場からの内定を得るまでは)じっと我慢して待つのが肝要です。
医師が転職をする際に最重要とも言える事は、「円満に辞める事」です。退職に伴うトラブルは、ある事、ない事が人づてに広まってしまい、医師としての自身のキャリアや評判を傷つけてしまう恐れがあります。出来る限り退職時のトラブルは避けた方が無難です。
円満に退職する事を最優先に、退職スケジュールの計画を立てる事から始める事をおススメします。次に、医師が転職を決意する主な理由や退職届を出すタイミング、退職交渉など、簡単にポイントを紹介します。
転職を成功させるために条件の優先順位をつける
転職候補先の選択(判断)基準として、どういった条件を優先するかを自分の中で決めましょう。例えば、病院の性質(急性期病院、ケアミックス、療養型、回復期リハ、クリニック・・・)、そして収入面(年収・年俸)や勤務場所、症例や業務内容、役職・ポジション、医師の体制、共に働くコメディカルスタッフのスキルレベル、人間関係、関連医局の影響力の有無、医療法人の運営方針など、多くの要素が複雑に絡み合います。転職するにあたり、希望条件の優先順位を付ける事で自分が何を求めているのか、転職先探しの方向性が見えてきます。すべての希望条件が当てはまる転職先は恐らく存在しない(パラダイスは無い)ため、条件を書き出し、1.絶対に譲れない事 2.可能であれば叶えたい事、3.優先度は高くないが出来れば希望する事、などを振り分けて自分の希望事項を整理し明確にする事(見える化する事)が重要です。
転職の意志を伝える順番と、いつまでに伝えるか
転職の意思を伝える順番としては、言うまでもありませんが、最初に同僚医師やスタッフに言うのではなく、まず「直属の上司」に転職の意志を伝えましょう(又は事前に相談という段階を経た方が良いかもしれません)。転職話が漏れて噂が広がってしまうというのはよくありません。本人が伝える前に周囲から退職の話が漏れ伝わってしまうようでは、上司は管理責任を問われてしまいます。その結果、上司の顔に泥を塗ってしまう事になりかねません。
このように、上司に伝える前に噂が広がってしまうと、円滑・円満に退職する事が困難になってしまいます。転職活動はできる限り秘密裏に慎重に行う事が肝要です。配慮ある行動を意識しましょう。退職話が噂で広まってしまうような失敗を避けるべく、最初に上司に相談ベースで退職を考えている事を伝えることをおススメします(たとえ退職意志が固まっているとしても、まずは相談、その上で固い退職の決意を示す・・・)。
上司に伝えるタイミングについては、それぞれの勤務先の就業規則や雇用契約などでルールがあると思われますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
医師が転職する理由
退職交渉をする際に雇用側(勤務先病院など)に伝える転職理由としては、たとえ勤務先に対する不満があったとしても、この機会に積年の積もり積もった不満をぶちまけてやる!といった子供じみた事は決してせずに、「一身上の都合により」または「両親の体調不良により」もしくは、「開業準備により」などの理由で「やむを得ない個人的な都合」にした方が無難です。大人の対応を心掛けましょう。
現に転職理由として第三者が反対、反論、否定する事ができない“当たり障りのない個人的事情”を挙げる事で円満に転職ができるケースが多いようです。こうした理由で、周囲の納得、同情や共感を得てから退職した方が、退職交渉上も有利で、円満退職への近道になります。他にも、辞めざるを得ない表向きの転職理由をいくつか考えておくとスムーズに進む可能性が高いでしょう。
退職届(or 退職願)を提出するタイミング
直属の上司に転職の意志を伝え、理解を得たら、退職届を提出します。
退職届を提出するタイミングとしては、実際に退職する2週間前までとされています(労働基準法)。
しかし、一般的には病院側の事情にも思いを馳せると、引継ぎや後任医師の配置が必要になりますので、最低でも3ヶ月~半年前くらいまでには退職の意思表示はすべきでしょう。
「退職届け」と「退職願い」は厳密には法的な違いがあります。
法的には「退職願い」は気が変わったら取り消す事ができますが、「退職届け」は一旦受理されると取り消す事が困難な性質ものです。
病院側に「退職届(たいしょくとどけ)」を提出すれば自主退職(労働者側からの解約)、
「退職願(たいしょくねがい)」の場合は相手が合意してもしなくても2週間経てば退職は可能(合意解約が成立)となります。
円満退職が理想ではありますが、相手方の事情を聞き過ぎると自己犠牲を強いられてしまいます。
逆のケースで、医師が「解雇」(雇用側からの解約)を通告される事もある訳ですので、ある程度の割り切りも必要かもしれません。
しかし、退職届にしろ、退職願にせよ、あまりにも早く提出してしまうと、職場に居づらくなるというデメリットがあります。そして遅すぎると病院に迷惑を掛けてしまいます。
そのため、退職届(or 退職願)を提出するタイミングには注意が必要です。退職届を提出したら、退職願とは異なり、取り消す事ができないという事に留意しておきましょう。
後任医師へ引き継ぎ
退職日が決まったとしても、業務の引き継ぎが思うように進まないことが多いものですが、自分主導で進められるように計画を立てましょう。引き継ぎ用に業務フローをまとめたり、患者さんの調整や各種資料をまとめたり、早めに準備しておくとスムーズです。
引き継ぎに関して、退職したら「後は勝手にどうぞ」ではなく、退職するまでに後任医師に必要な引き継ぎをする事と、いつまでに引き継ぎを完了させるかを決めます。後任医師がいない場合も多いかもしれませんが・・・。
そして、上司や後任医師に前もって引き継ぎの計画やまとめたものを共有しておくと、予定していた退職日に円滑に退職できるでしょう。
退職の意志を伝えた後の過ごし方
退職の意志を伝えた後は、不平不満などを周囲に漏らす事がないように気を付けましょう。
そして仕事においては決して手を抜く事がないように、今までどおり業務態度を変えずに取り組む事が大切です。
退職の意志を伝えてから、実際に退職するまでの間の過ごし方は大切です。
気持ちが既に次の転職先に向いてしまう可能性がありますが、後任医師に十分な引き継ぎを行い、退職日までは自らのやるべき事に集中しましょう。自身の退職日から逆算し、ゆとりを持って引き継ぎが行えるように、スケジュールを立てる事が肝要です。
働きながら医師が転職を進める方法
転職先が決まっていない状態で、退職日が近づくと不安が付きまといます。そういった事態を避けるべく、働きながら計画的に転職活動を行う事をおススメします。
通常業務を行いつつ有給休暇を活用して転職候補先となる病院の見学や面接を設定するなどし、効率良く転職活動を進める事がポイントです。自身で医師求人を探すのが手間だと感じるようであれば、医師転職エージェントを利用すると良いでしょう。医師転職エージェントの担当者が条件に合う医師求人の情報を共有してくれるため、便利です。
医師が転職する年齢
医師が転職する年齢としては、30代半ばから50代頃にキャリアを見つめ直し、転職を考える医師が増えてきています。医師の転職適齢期というものでもないですが、上記の年齢層や、定年後の60代の医師からの転職サポート依頼も多くなっています。
医師を募集している医療機関は、できるだけ長く勤めてもらいたいと考え、若い医師の募集をしている事が多いです。そのため、売り手市場という意味では、転職を比較的行いやすい年齢としては40代頃までです。
しかし、キャリア経験を活かして仕事をしてもらいたい場合には、年齢を問わない募集も多数あります。ケアミックス病院や療養型の病院では、むしろこちらの方が需要が高い事もあります。
どちらにせよ、医師募集の求人を出している医療機関の事情によるところが多いため、求人情報を確認しておくと良いでしょう。
退職手続き
お金にまつわる「税金」「保険」「年金」などの手続きは、放っておくと後が面倒になります。そのため、退職した後に必要な手続きを怠らずに行いましょう。
これらは基本的に、在職中は給与から天引きされているため、意識が薄くなりがちですが、おざなりにする事がないように、必要な手続きは行うように頭に入れておきましょう。
退職時に必ず受け取るものとして3つあります。1つ目が雇用保険被保険者証、2つ目が源泉徴収票、3つ目が年金手帳です。
まとめ
以上、医師が転職する際、退職交渉で引き留められ、なかなか辞める事ができない状況に陥らないように、円満に転職する方法を説明しました。
他にも、医師が転職する際に必要な情報も紹介していますので、転職活動にお役立てください。
せっかくの自身の人生、諦めずに自分に合う病院を探してみては如何でしょうか。
次の記事には、医師が理想のライフスタイルを実現するためのポイントをまとめています。合わせてご一読ください。
理想のライフスタイル実現、将来設計を意識した医師転職のススメ
・プロフィール
医師の転職支援サービス「医師転職コンシェルジュ」を運営し、自らもエージェントとして医師の転職をサポートしています。これまでに14年間、多くの医師の転職を成功に導きました。
経歴を見る
・経歴
1969年大阪生まれ
大阪明星学園・明星高等学校卒業(高校3年時・剣道3段、玉竜旗全国高等学校剣道大会出場)
関西大学 法学部法律学科卒業(専攻・民法総則=高森ゼミ第14期幹事、大学4年時・剣道4段)
1992年
総合商社 ニチメン(現・双日株式会社)入社。商社マンとして11年間(1992-2003年)勤務
2003年
NZ・Hawaii短期留学・ビジネス視察
2004年
株式会社レイ・クルーズ設立、代表取締役に就任。
大前研一塾長ABS(アタッカーズビジネススクール)第19期
~現在に至る。
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