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医師の転職、面接や年俸交渉、労働条件書について

医師が転職する際、病院との条件交渉はどのような流れになっているのでしょうか?

医療の中身や仕事内容に関する要望については明確に意思表示ができる医師は多いと思います。しかし、年俸をこれだけ欲しいといった条件面の交渉についてはあまりやりたくない、難しい交渉を直接、病院経営側と行う事には抵抗があるという医師もまた多いように見受けます。

今回は「転職候補先病院との交渉」について見ていきましょう。

医師転職の流れ

医師転職の流れ

転職する際、最近では医師専門の人材紹介会社(いわゆる医師転職エージェント)を利用する医師が増えてきました。ここでは医局人事を離れて、医師転職エージェントを活用して転職する一般的なケースを取り上げます。

それでは医師が就職先医療機関へと転職する際に行われる「病院との条件交渉」の実際について見ていきましょう。

転職候補先病院の選定から採用内定、入職までの流れは以下のようなものが一般的です。

1.転職活動スタート

医師転職エージェントへ登録する。

2.医師求人募集案件の提案を待つ

医師転職エージェントから医師求人募集案件の提案を受ける。

(転職エージェントとのやりとりはメール、電話、面談など医師側希望によりケースバイケース)
希望する病院がある場合は、医師側からエージェントに病院名を指名して医師求人の有無確認や条件交渉(年俸、労働条件、勤務内容)など煩雑な実務(病院との交渉、やりとり)を任せるやり方もあり。

3.病院選定

転職候補となる病院(医療機関)を最終的に3施設程度に絞り込む。

4.面接

転職候補先病院と面接を行う。
(公式な「面接」に先立ち、事前のおおまかな条件交渉を行いつつ、病院見学や非公式な「面談」など『根回し』を行う場合もあり)

5.条件提示

面接後、医療機関側から転職エージェントを通じて医師へ採用条件の提示が行われる。「採用条件提示書」、「医師採用条件通知書」、「労働条件書」、「内定通知書」など医療機関により書類の名称・形式は様々。

6.内定受諾or条件交渉、または辞退の意思表示

a) 内定受諾:
病院側から提示された条件が満足いくものであれば内定を受諾し、入職する意思があるという事をエージェント経由で病院側へ伝える(内定受諾の意思表示)。

b) 条件交渉:
入職する意思はあるものの、勤務条件面で改善を求める場合は、エージェントを通じて年俸交渉、勤務内容その他の交渉などを行う。その過程で双方の条件が折り合わず交渉がまとまらない事も。

c)辞退:
入職する意思が無い場合は、病院側へ失礼の無いように辞退の連絡をエージェントを通じて早めに行う。

労働条件提示書の重要性

労働条件提示書の重要性

ざっと医師転職の流れを上で見てきましたが、条件提示内容や合意事項を「書面でもらっておく」という事は重要です。

互いに信頼関係にある間柄でも、時間が経つと当初の合意事項を忘れてしまい曖昧になってしまう事がよくあります。口約束だけですと病院側の理事長や院長、事務長など担当者が変わると、労働条件がなし崩し的に変わってしまうといった事も起こり得ます。

そんな時に互いに嫌な思いをせずに済むように、簡単な内容でも良いので書面で確認しあうという事は思いの外、大切です。簡易なものでも(例えば、メールでも)良いので、お互いにあやふやになりそうな合意事項は特に書いたもので確認し合った方が良いでしょう。あまり形式に拘る必要はありません。

組織 対 個人、雇用者 対 被雇用者(病院 対 医師)となると、どうしても立場や交渉力が弱くなりがちで不利です。やはり入職前の「対等な立場」の時に合意事項を書面で確認しあっておくという事は、雇用側の立場の濫用を抑止するという役割からも重要といえます。

医師が次を決めずに退職するのは危険

医師が次を決めずに退職するのは危険

医師不足と言われる状態が長く続いている昨今、ある一定レベル以上の医師の場合、そこそこ満足いく転職を実現するのは、さほど難しい事ではありません。

しかし、次の勤務先を決めずに今の病院を退職するのは、いくら医師不足下の状態(医師にとっての売り手市場)といえども危険と言わざるを得ません。言葉は悪いですが弱みに付け込まれ足もとを見られます。つまり、条件交渉の観点から言うと、不利な交渉を強いられるという事です。医師自身の精神衛生上も不安な日々が続きよくありません。

上で述べた「ある一定レベル以上の医師」というのは、病院側(雇用側)の立場から見て、雇うに値する医師、相応のコストを掛けてでも採用したい医師、という意味合いです。

もっと分かりやすく具体的に言うと、書類選考段階で病院から「お見送り」、「お断り」をされない医師です。書類選考を通過できない医師の代表的な例は転職回数が極端に多く、ひとつひとつの勤続期間が極めて短い医師が挙げられます。履歴書の職務経歴書に空白期間がある場合も転職時には不利に作用しますので、採用側(病院)を納得させられるだけの理由や事情を簡潔に説明する必要があります。
(しかし、書類選考を通過できなければその機会すら与えられません。)

これらの事に不安がある医師は腕の良い医師転職エージェントを頼れば力になってくれるでしょう。

次に、「そこそこ満足いく転職」という表現を上記で使っている点について。

医局を辞めて(大学医局を退職して)、大学という後ろ盾の無い個人(一人の医師)としてやっていくという事はメリットばかりではなく、デメリットやそれなりのリスクもあるという事を改めて認識しておく必要がありますよという事を言いたいが為に敢えて、そのような表現を使っています。

今の日本で一般的に多くの医師が「良い病院」と考えるような有力医療機関は大学の関連病院(国公立、公的病院など)となっている事が多いのが現実です。

日本全国には8,000を超える病院が存在しますが、大学医局の影響(医師の派遣など)から全く解き放たれて、大学との関係を全く気にせずに盤石な経営をやっていける病院となると相当限られた数になってきます。

それらの病院での満足いく役職・ポジション、年俸、やりがいなど、全てに満足いく転職を実現するというのは、相当難しいと言わざるを得ません。

そういう意味において「そこそこ満足いく転職」を実現する為には、時に意識改革も必要になるかもしれません。その上で、優先順位を明確にした「戦略的妥協」もある程度は必要になるという事です。

まとめ:医師の転職は100点満点を目指さないのが吉。医師の転職は大きな決断ではあるが、何を選ぶかよりも重要なのは自ら選んだ道をどう生きるか。

まとめ

医師の転職で100%満足という事はなかなか無いでしょう。条件面の優先順位付けや戦略的妥協が必要となるケースが多いと思います。医師が転職をするというのは大きな決断を伴います。

転職して数カ月が過ぎると、選ばなかった方の病院に入職した方が良かったのかもしれないという思いに駆られる事があるかもしれません。選ばなかった方の未来を想像して後悔する事もあるかもしれません。

しかし、何を選ぶかは然程重要ではないと私は思います。それよりももっと重要な事は、自分が選択した道をどう生きるかです。自分がどう生きるかで全てが変わります。

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三木正孝

・プロフィール

医師の転職支援サービス「医師転職コンシェルジュ」を運営し、自らもエージェントとして医師の転職をサポートしています。これまでに14年間、多くの医師の転職を成功に導きました。

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・経歴

1969年大阪生まれ
大阪明星学園・明星高等学校卒業(高校3年時・剣道3段、玉竜旗全国高等学校剣道大会出場)
関西大学 法学部法律学科卒業(専攻・民法総則=高森ゼミ第14期幹事、大学4年時・剣道4段)

1992年
総合商社 ニチメン(現・双日株式会社)入社。商社マンとして11年間(1992-2003年)勤務

2003年
NZ・Hawaii短期留学・ビジネス視察

2004年
株式会社レイ・クルーズ設立、代表取締役に就任。
大前研一塾長ABS(アタッカーズビジネススクール)第19期
~現在に至る。