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医師の年収、診療科別の傾向と将来性

医師の将来性

高年収と言われる医師という職業。「将来は医者になるんだ!」と医学部を目指す高校生、浪人生の医学部人気が過熱しています。医学部を卒業して国家試験に合格、晴れて医師免許を取得すれば、一応どの診療科でも自由に標榜する事が可能という事になってはいます。しかし、実際にはその診療科の研修や臨床経験を充分に積まないと、医師になったからといって何でも診られる訳ではない事は言うまでもありません。では診療科によって忙しさや人気、不人気、将来性や年収の差といったものはあるのでしょうか?

なぜ医師という職業を選ぶのか?

医師という職業

一部(?)の私立医科大学で入試の不正が半ば公然とまかり通っていた事が明るみに出て世間を騒がせています。親も子供もそこまでして盲目的に医者を目指すのには理由があります。まず、医学部が入試偏差値において最難関学部である事、それは今も昔も変わりません。それ故、医師は世間から「頭がいい」、「トップエリート」、「先生」として尊敬される職業である事がまず挙げられるでしょう。それに加え、年収が高い事から経済的安定を手に入れやすく、経済的な側面から見れば「幸せ」になれる可能性が高い仕事であると考えられている事も理由のひとつでしょう。

医学部に入るという事は、その時点で将来の職業選択は「医師になる」というほぼ一択です。医者として生涯やっていくという覚悟や志の高さには個人差、濃淡があるにせよ、職業選択において他に迷う余地は殆ど無いと言えるでしょう。医学部を出れば、医師としてやっていくのが半ば当然の事なのです。「医学部入学」は、ほぼ「医者になる」と同義ですから医師免許を取得するまでの目標は明確です。そこまでは迷いなくがむしゃらに勉学に勤しむ事が勝利の方程式です。しかし、問題はその後です。

医師にとって診療科の選択は人生の分かれ道?

医師

医師になってから多くの研修医が大いに迷うのが「診療科目」の選択です。
診療科によって忙しさやストレス度合に差があり、人気、不人気の診療科があるのは事実でしょう。

医学部入試の不正において一律に女子学生の点数を減点していたという事実に、あってはならない事と前置きしながらも、(臨床現場にいる医師の立場から考えると、ある程度やむを得ない部分もあると)一定の理解を示す現役女性医師が少なくないという報道がありましたが、残念ながら日本の医療現場の現実と問題点が浮かび上がってきた一つの事例と言えるかもしれません。

学業優秀な女子学生が現実に多く、医師不足で悩む大学医局や大学病院は女性医師ばかりになると、眼科や皮膚科を志望する若手医師が益々増えて、外科や産婦人科を志す医師が益々減ってしまう。そうなると外科や産科の医療現場はとても回らない。「労働力」、「戦力」として使いやすく体力勝負の側面もある過酷な臨床現場では男性医師を歓迎するという風潮があるのは事実でしょう。

診療科を選択する傾向としてオンコールや当直の負担が少なく、患者の生死に直結しにくい診療科、訴訟リスクの低い診療科を選択する医師が男女を問わず増加傾向にあると言われています。

この現実の善悪はさておき、一律の医師免許でどの診療科も自由に選択できるという日本の医師免許のシステムが徐々に制度疲労を来しているという事なのかもしれません。
どの診療科を選ぶかによって、その後の医師人生や生活は全く違ったものになるのでしょうか?こればかりは誰にも分かりません。人生は選択の連続です。選ばなかった人生がどのようなものなのかを覗き見る事はできないので、自分で決断し、その決断に責任を持って生きていくより他ありません。

どの診療科が将来有望?

有望な科目

我々が運営している医師転職コンシェルジュにも研修医や医学部生から「将来有望」な診療科を教えてほしいといった相談が届く事があります。

正直、答えに困る質問なのですが、聞いている当人の気持ちを鑑みれば、真剣に悩んで問い合わせをしてこられていると思うので、こちらも出来る限りその人にとって何か少しでも有益なアドバイスとなるようにと心掛けて対応しています。

内視鏡やカテーテルといった医療機器と医療手技の進歩により、外科と内科の明確な垣根が薄れつつある診療領域も見られます。AIやロボットが診療をサポートするといった試みも各所で始まっています。

どの診療科も患者からの需要がある限りにおいてはある日突然消滅する事は考えづらく、どの診療科を選んでも、ある医師にとっては将来性があるし、また別の医師にとっては将来性が無いという事になり得ます。医師には生涯にわたる研鑽を厭わないという「努力を継続できる才能」が求められるのではないでしょうか。生涯にわたる研鑽を怠る医師には将来性が無いというのは、私が親しくしている医師が後輩医師に対して叱咤激励する際によく使う台詞のひとつです。

医師としてやりたい事、なりたい理想像、一人前になるのに要する時間、第一線で活躍できる年数、当直、オンコールなども考慮した実労働時間、患者の命に関わる緊急度合、救急対応、訴訟リスク、生涯賃金…。

重視するポイントは個々人によって十人十色でしょう。

つまらない答えと思われるかもしれませんが、人によって将来性のある診療科はそれぞれ異なって然るべきというのが私の考えです。

保険診療の範疇ではどの診療科を選択しても年収に大差はなく、医師としてしっかり研鑽を積んでおけば、その気になれば患者さんから大いに感謝された上に、自由診療の分野なども含めればいくらでも稼ぐ手段が医師にはあります。
上述したような判断基準はその気になって少し調べれば、ある程度の答えはすぐに見つかるはずです。

軽薄なランキング情報に惑わされて右往左往する事なく、大切にしたい事、やりたい医療といった根源的な問いかけを賢明な医師の方々は自分自身に対して行っていただきたいと思います。


まとめ:医師の診療科に貴賎なし(職業に貴賎なし)。保険診療においては診療科による年収の違いも大差なし。

医師の診療科に貴賎なし

「これからどの領域もしんどい時期がくると思います。」
これはある中堅医師の言葉です。続けて、「実力があれば引く手数多だし、無ければ良い職にはありつけない。」と彼は言います。診療科によって忙しさ、仕事の中身に違いはあれど保険診療においては診療科による年収の差はあっても微々たるものです。職業に貴賎なしと言います。医師の診療科の違いにも貴賎は無いと思います。本質的には医師は豊かになれる仕事だと思います。目先の損得よりも、大切にしたい事、やりたい医療など根源的な事を重視しての診療科選択を多くの医師にして欲しいと願います。

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三木正孝

・プロフィール

医師の転職支援サービス「医師転職コンシェルジュ」を運営し、自らもエージェントとして医師の転職をサポートしています。これまでに14年間、多くの医師の転職を成功に導きました。

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・経歴

1969年大阪生まれ
大阪明星学園・明星高等学校卒業(高校3年時・剣道3段、玉竜旗全国高等学校剣道大会出場)
関西大学 法学部法律学科卒業(専攻・民法総則=高森ゼミ第14期幹事、大学4年時・剣道4段)

1992年
総合商社 ニチメン(現・双日株式会社)入社。商社マンとして11年間(1992-2003年)勤務

2003年
NZ・Hawaii短期留学・ビジネス視察

2004年
株式会社レイ・クルーズ設立、代表取締役に就任。
大前研一塾長ABS(アタッカーズビジネススクール)第19期
~現在に至る。