- 転職
- 2018-10-5
医師の転職、ヘッドハンティングやスカウトでの転職
医師の世界にもヘッドハンティングがあります。ヘッドハンティングは秘密裏に水面下で行われるものです。
同じ医療圏や近隣の病院から強引に医師を引き抜くという事はあまり無いでしょうが、ヘッドハンティングは、ある種の病院同士の医師の奪い合い、引き抜き合戦とも言えます。
ある日突然舞い込むヘッドハンターからのスカウトの手紙やメール。
転職など考えてもいなかった医師が、スカウトを受け、別の医療機関へ高待遇で迎えられる。それが医師のヘッドハンティングです。普段はあまり見聞きする事が無い医師のヘッドハンティングの実態を少しご紹介したいと思います。
目次
ヘッドハンターからの医師へのスカウトレター
日本ではヘッドハンティングで転職した経験がある医師はまだまだ少数でしょう。
しかし、医療法人側の経営戦略上(例えば、新病院建設や病院M&A=病院買収・病院統合など)、収益センター(病院の収益の柱)を担ってもらう特定診療科や特定領域でどうしても欲しい医師のターゲット層(〇〇科で〇〇ができる医師、年齢は〇〇歳代etc.)がある場合、そして、いついつまでに何としても採用しなければならないといった必要に迫られた時に、ヘッドハンティングによる医師のスカウトという採用手段を医療機関が活用する事があります。
医師専門のヘッドハンティング会社が大小様々ですが存在します。医師紹介会社が通常の登録型の医師紹介に加え、医療機関からの要請を受けてターゲットを絞った医師のヘッドハンティングを行う場合もあります。
そんなヘッドハンティングですが、医師へのアプローチ手段は結構アナログなものが主流のようです。手書きの手紙が勤務先や自宅へある日突然届く、といったものが多いようです。
直筆の手紙の場合もあれば、あるターゲット層の不特定多数の医師に送る場合は、手書きだけれども実はコピーといったものもあるようです。
また、どこでメールアドレスを入手したのかメールが届く事もあるようです。
住所やメールアドレスが分からない場合は、結構強引な手段ですが、勤務先病院で突然声を掛けられるといった事もあるようです。
スカウトを受けた医師側が興味を示せば、ヘッドハンターとの面談から交渉はスタートします。
- なぜ、あなたにヘッドハンティングの声を掛けたのか、どんな医療機関がどのような事情であなたを欲しがっているのか、どんな診療環境、待遇条件を用意して医師をヘッドハンティングでスカウトしようとしているのか・・・。
- スカウトオファーを受けて、転職を検討する意思があるか否か。
ヘッドハンター側もスカウト対象である医師を面談の中で様々な観点から見定めています。お互いに興味があれば2回、3回と必要な限り何度でも打ち合わせを重ね、ようやく医療機関名などが明かされ、病院側のキーパーソン(経営企画や事務局長→病院長→理事長)との面会へと繋がっていきます。
ヘッドハンティングはある意味、引き抜きと言える行為です。突然、優秀な医師を引き抜かれてしまうと引き抜かれる側の病院は困ってしまいます。その為、業務の引継ぎや後任医師の確保など現勤務先の医療機関を円満に退職する為には相応の時間が掛かります。最低でも1年くらいは必要でしょうか。
まともなヘッドハンティングの案件で声が掛かる医師とは?
一口にヘッドハンティングと言っても玉石混交です。然るべきヘッドハンティングの話しは、相応の経験を積んだ医師にしか届きません。
医療機関側がヘッドハンティングに高いコストを支払ってでも採用したい医師のポストは、例えば、病院長や副院長、センター長、診療部長、中堅医師であれば心技体が充実しているエース級の医師くらいまででしょう。
医局や病院の社会的評価や「格」が高いネームバリューのある組織に所属している医師などの中からリストアップされるのが定石です。
年齢で言えば、若い医師でも40歳代以上くらいからでしょうか。
ヘッドハンティングによる医師転職のメリット
(まともな)ヘッドハンティングで声が掛かる医師というのは、たいていの場合、(漠然としていますが)医師として技量面で優秀かつ現勤務先の医療機関や周囲から一定以上の高い評価や信用を得ているのが普通です。
ヘッドハンターが医療機関からの要請を受け、リサーチしてターゲットとなる医師をリストアップしていますので、周囲からの評価が高い医師がスカウト対象となるのは当然です。
声が掛かる医師は、いわば選ばれし者、そのスカウトの話しに乗るか乗らないかの主導権は医師側にあります。年俸は勿論大幅アップが期待できるでしょう。
ヘッドハンティングで声が掛かるという事実は、「評価が高い医師」「(病院や患者さんから)感謝されている医師」といった事の現れでもあり、これらの目には見えないがこれ以上ない充実感は医師にとってモチベーション維持の最大ファクターのひとつと言えるでしょう。
そして、報酬も同様にモチベーションアップの大きなファクターのひとつです。
更に、恵まれた診療環境が用意され自己実現の近道となる可能性も秘めているのがヘッドハンティングによる医師転職のメリットではないでしょうか。
ヘッドハンティングによる医師転職のデメリット
通常の登録型医師紹介(転職したい医師が転職エージェントへ自らの意思で登録し医療機関の紹介を待つ形態)であれば、医師側が希望する病院を複数の選択肢の中から選ぶ事ができます。
しかし、ヘッドハンティングの場合は、医師側に病院選択の余地はありません。スカウトで声を掛けてくれた医療機関に転職するか否かのいずれかしかありません。その医療機関を医師側も気に入れば問題ありませんが、「病院を選べない」という点はヘッドハンティングによる転職の大きなデメリットでしょう。
通常の医師紹介で病院が転職エージェントへ支払うFeeは成功報酬のみで医師年収の20~30%程度が一般的な相場ですが、ヘッドハンティングの場合は、その成否に関わらず、リテーナー契約といって、着手金をまず病院側が支払う必要があり、それにプラスして成功報酬(30~40%以上が相場?)などが掛かります。
ターゲット層の医師にピンポイントでリーチして採用できる(可能性が高い)のが医療機関側のメリットではありますが、医師の採用コストは通常よりもかなり高額となります。医師本人への高額年俸とヘッドハンティングによる高い採用コストに見合うだけの成果を医師は要求される事になる訳です。
短期間での結果が求められる心理的プレッシャーと高額年俸や高待遇とのトレードオフとも言えるかもしれません。
まとめ:ヘッドハンティングによる医師転職にはメリットとデメリットがある。話に乗る場合は、そのスカウト話がまともなヘッドハンティング案件かどうかの見極めが重要。
ヘッドハンティングによる医師転職のメリットは、1つ目は高額な報酬。2つ目は理想的な勤務環境整備が伴えば自己実現への近道となる可能性が高い事。そして3つ目は、評価される、尊敬されるといった他者からの信認、モチベーションアップ、ヘッドハンティングされたという自尊心が医師としての使命感を再確認する良い機会となり、自信に繋がるといった点でしょうか。
一方でデメリットは、医師側に病院選択の余地がない事。そして、まともなヘッドハンティング話かどうか、更にはその医療機関の経営が盤石なのかどうか(少なくとも優良な医療機関であるのか否か)等を見極める眼力が必要な事など、案件によってヘッドハンティングと一口に言っても玉石混交であり、リスクの高い話しも紛れている危険性がある事を認識しておく必要があるでしょう。
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・プロフィール
医師の転職支援サービス「医師転職コンシェルジュ」を運営し、自らもエージェントとして医師の転職をサポートしています。これまでに14年間、多くの医師の転職を成功に導きました。
経歴を見る
・経歴
1969年大阪生まれ
大阪明星学園・明星高等学校卒業(高校3年時・剣道3段、玉竜旗全国高等学校剣道大会出場)
関西大学 法学部法律学科卒業(専攻・民法総則=高森ゼミ第14期幹事、大学4年時・剣道4段)
1992年
総合商社 ニチメン(現・双日株式会社)入社。商社マンとして11年間(1992-2003年)勤務
2003年
NZ・Hawaii短期留学・ビジネス視察
2004年
株式会社レイ・クルーズ設立、代表取締役に就任。
大前研一塾長ABS(アタッカーズビジネススクール)第19期
~現在に至る。
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