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医師が円満転職(円満退局)を進めるための手順とは?

医師が円満転職(円満退局)を進めるための手順とは?

医師が転職を円満に進める手順を(医局からの退局を含め)考えてみたいと思います。

「大学医局と喧嘩別れ」なんて後先考えない辞め方をしてしまうと、医師としての前途は多難です。医局にせよ市中病院にせよ、今の勤務先病院を辞める決意を固めた場合、同じ辞めるにしても上手な辞め方と下手な辞め方があります。

このコラムを読んでいる医師には同じ辞めるなら上手な辞め方をして前途洋々な医師人生を歩んでいただきたいと思います。惜しまれつつも「まあ、仕方が無いか。惜しい人材で慰留したいがそういう事情なら退職を認めざるを得ないな」という同意を得て快く送り出してもらうのが理想です。

医局を辞める決意を固めた時 

医局を辞める決意を固めた時

医局や今の病院を辞めたいと思った時、すぐにその退職意思を医局長や教授に伝える(通告する)のは多くの場合得策ではありません。やはり円満退職と次の転職成功の為には、ある程度の「退職&転職準備」と「根回し」、それに「熟成期間」とが必要でしょう。

その熟成期間とは・・・?。
ケースバイケースで一概には言えませんが、お互いに納得感を得られ、医局側が「裏切られた感」を抱かない相応の時間を掛けて、退職時期の選定を含めた相談や話し合いを重ねる事が重要です。適切な退職タイミングと事前の根回しにどのくらいの時間を掛ける必要があるのか、それを肌感覚で個々の医師が見極めて、充分な話し合いを経て円満退職を勝ち取るより他ないでしょう。一般的には、最低でも半年。周到な準備で円満退局を目指すならば1年から2年くらいを掛けてじっくり取り組む場合が多いのではないでしょうか。

あくまで一例として、円満退職を進める為の手順を下記します。

1.退職(医局退局)の決意を(自分自身の心の中で)固める。

2.秘密裏に(あくまで秘密裏に・・・)次の転職先を確保しておく。
(この過程をすっ飛ばして、医局を飛び出してしまうと様々な困難が待ち受ける危険が高まります。)

3.医局長に相談(あくまで相談。退職意思の一方的な通告はNG。)

4.医局長の反応次第で「退職時期」は柔軟に設定。場合によっては戦略変更を余儀なくされる事もあり得る。退職(退局)というミッション自体の変更、撤退(医局への残留)もあり得る。医局長とその先にいる教授を敵に回しての強引な退局はNG。

5.医局長を味方につけ、教授への事前根回しをしてもらう。

6.教授に相談(あくまで相談。でも退局にはやむを得ない「個人的事情」があり、誠に恐縮ながらご理解をいただきたいという真摯な姿勢を示す。)

7.教授から慰留される場合は根気強く、誠意をもって「相談(退局を認めていただくお願い)」を何度でも続ける。

言うまでも無く、医師の世界は狭い世界で、ある意味では「縦社会」です。医局を敵に回すのは百害あって一利なしとも言えるでしょう。あくまで円満に退局する事が次へ進む大前提であると心得ていただいた方が良いと考えます。

医局に属さない医師が病院を退職して、他の病院へ転職する場合も、上記と同様に円満退職を目指す事をお勧めします。最初の相談相手は事務長(事務局長)などになるでしょうか。そこから法人本部→院長(and/or 理事長)へと組織によって事務的に話しが行くケースが多いでしょう。

退局(退職)せざるを得ない事情、退局理由、そして強い決意

退局(退職)せざるを得ない事情、退局理由、そして強い決意

第三者が否定・反論(反対)できない「個人的な事情」が、退局(退職)理由としては最も無難で退職交渉をスムースに運ぶためのカード(切り札)となるでしょう。

家庭事情、家族を含めた健康上の理由、結婚を機に、子供の誕生を機に、子供の教育費(私立中高一貫校、医学部受験etc.)が嵩む、結婚の失敗(離婚を機に)、親の介護、やりたかった医療ができる環境が見付かった・・・etc。
人生には様々なターニングポイントが訪れます。事前に準備して対応可能な場合もあれば、突然想定外の事態が降りかかってくる事もあります。

退局の意志を固めたならばタイミング(チャンス)を逃さずに、誠実に医局(教授、医局長)と「相談」を重ね、周囲の人々からの充分な理解を得る事が何より肝要です。

医局を辞める退職交渉もNegotiationのひとつです。上手に人生を歩むテクニックとして、このプロセスを軽視してはいけません。多くの医師にとっては、教授に退局意向を面と向かって伝える事は人生において最大級に緊張を強いられる事態かもしれません。その場に臨む心理的ストレスの大きさは医局員たる医師でないと本当のところは理解できないでしょう。

しかし、腹を決めたからには自分の人生の主導権は自分にあります。強い決意で交渉に臨む覚悟が成否を分けます。

とはいえ、教授と医局を敵に回すような失敗(喧嘩別れ)は絶対に避け、円満退局を納得してもらう上手な話し合いを戦略的に進める事が何より重要です。

最後には、これまでお世話になった事に対する感謝の気持ちと、今後もいつかどこかでお世話になる事がある(だろう)事、今後もご指導ご鞭撻の程をよろしくお願いいたしますと誠実に伝える事を決して忘れないでいただきたいと思います。

まとめ:医師の世界は狭い。結果として退局(退職)するにせよ、決して大学医局や病院と喧嘩別れはしない事。

まとめ:医師の世界は狭い。結果として退局(退職)するにせよ、決して大学医局や病院と喧嘩別れはしない事。

人生何が起こるか分かりません。特に医師の世界は狭く、大学医局の(医師人事における)影響力は低下したと言われていますが、決して無視できるものではありません。医局所属の有無を問わず、自分が関わった大学医局とは良好な関係を継続しておく事は大変重要です。医局を敵に回すような事はくれぐれも避け、医師としての人生を上手に渡り歩いた方が生きやすいのは言うまでもありません。

信用や信頼を築くのには長い時間を要します。しかし、それらを失うのは一瞬です。たった一度の不義理で信用を失う事もあり得ます。評判が地に堕ちると、あとは推して知るべしです。

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三木正孝

・プロフィール

医師の転職支援サービス「医師転職コンシェルジュ」を運営し、自らもエージェントとして医師の転職をサポートしています。これまでに14年間、多くの医師の転職を成功に導きました。

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・経歴

1969年大阪生まれ
大阪明星学園・明星高等学校卒業(高校3年時・剣道3段、玉竜旗全国高等学校剣道大会出場)
関西大学 法学部法律学科卒業(専攻・民法総則=高森ゼミ第14期幹事、大学4年時・剣道4段)

1992年
総合商社 ニチメン(現・双日株式会社)入社。商社マンとして11年間(1992-2003年)勤務

2003年
NZ・Hawaii短期留学・ビジネス視察

2004年
株式会社レイ・クルーズ設立、代表取締役に就任。
大前研一塾長ABS(アタッカーズビジネススクール)第19期
~現在に至る。